名古屋大学 児童文化研究会 (名大児文研) OB

名古屋大学児童文化研究会のOBが作るブログです。1960年代から1970年代にかけての写真や資料を紹介します。

黄色い扉 第8号(1973年4月発行)その8

1973年4月に発行された「黄色い扉」の振り返りの8回目です。今回が、この号の紹介の最後になります。記事は、ゲロくんの「新入生”いらっしゃい”」、加島さんの「国立大授業料について」、そして「書記局の今期の方針」なる文章です。

「新入生”いらっしゃい”」の”いらっしゃい”は、「新婚さんいらっしゃい」を彷彿させるものがあったので調べてみると、当の番組は1971年1月31日に放送スタート。そのころから桂三枝(現在は文枝)が、あの口調で「しんこんさん、いらっしゃあ~い」と言っていたかどうかはわかりませんが、おそらくこれをもじったものでしょう。

加島さんの文章は、当時「国立大学授業料値上げ反対闘争」が大学内を中心にひろがっていたので、それとの関連で書かれたものだと思います。当時の国立大学の授業料は月額1000円。少々家庭の経済状況が悪くても、なんとか大学へ入学できた額です。戦前は、大学進学はおろか、旧制中学・高校さえも特権的な階層にしか開かれていなかったことへの反省で、進学の意思と努力さえあれば誰もが大学へ行けるという制度にしたのだと思われます。しかし、現在では家庭の経済格差が教育格差を生み、さらにそれが経済格差につながるという、格差の固定化を生み出す状況になってしまいました。当時、全学連自治会が「国立大学にも行けない階層が生まれる」と警告を発していましたが、50年後、そのようになってしまいました。

ということで、最後の6ページを紹介します。